W. J. シートン著
鈴木 周 訳
序言
この小冊子は、組織神学の分野において、神の主権的絶対恩寵の教理或るいはカルヴィン主義救済論といった用語によって呼ばれている神学体系を概観している。
さて、「カルヴィン主義」と言う用語がカルヴィンの教えた事及び彼の書き記した事のすべてを必ずしも指していないという点に我々は留意する必要がある。それと同時に「カルヴィン主義」という用語が使用される背景には聖書の教えを組織的にまとめあげること(すなわち聖書に基づく組織神学の確立)において宗教改革者カルヴィンが大きな貢献をした歴史的事実が存在することも認識しなければならない。
C. H.スポルジョン(1834〜1892年)はこのことについて次のように述べている。「我らは、聖書の正しい教理の簡略な呼び名として『カルヴィン主義』という言葉を用いているにすぎない。その教理は、全ての真理の偉大なる創始者であり給う神を、その源としているのである。おそらくカルヴィン自身はこの教理を、主にアウグスチヌスの著作に見い出したのであろう。そして、アウグスチヌスがこの教理をパウロの書簡の綿密な研究を通して聖霊の導きのもとに与えられたことは疑いようのないことである。パウロは、聖霊によって、恩恵の契約の偉大な創始者であり給うイエス・キリストより与えられた言葉を書き記した。我らは、この『カルヴィン主義』という言葉を時々使うことがある。だからといって我らは、昔カルヴィンがこの教理を教えていたということをことさらに強調し重要視するつもりは全くないのである。」
この小冊子は、カルヴィン主義の五特質と呼ばれている教理体系を説明することにより、救いが神の主権的絶対恩寵によってのみもたらされるという聖書の真理を提示するものである。
鈴木 周